ディスペンサー装置をロボットと連動させるときに見落としがちなポイント
車載電装部品メーカーの生産技術課で15年、接着やポッティングの工程を立ち上げてきた森下です。
手塗りの工程をロボットとディスペンサーで自動化する仕事にも、何度か関わりました。
その経験から言うと、つまずくのは機種選びよりも「つなぎ方」のほうです。
この記事では、連動させるときに見落としやすい点を4つに絞って紹介します。
目次
1. 信号のやりとりを先に決めておく
ロボットとディスペンサーは、信号を送り合って動きます。
最低限、次の3つは誰がどちらへ出すのかを決めておきます。
| 信号 | 向き | 確認すること |
|---|---|---|
| 吐出開始 | ロボット→ディスペンサー | 入力の形式が合っているか |
| 吐出完了 | ディスペンサー→ロボット | 完了を待ってから動くか |
| 異常 | ディスペンサー→ロボット | 液切れで止まる仕組みがあるか |
入出力の形式は機種によって違います。
たとえばナカリキッドコントロールのDCOP-SC1は、外部入力が無電圧接点またはオープンコレクタ、外部出力がオープンコレクタです。
吐出方式による違いも含めて、基本はナカリキッドコントロールがディスペンサー装置の仕組みと吐出方式をまとめたページで整理できます。
2. 動きと吐出のタイミングを合わせる
線を引く塗布では、始点と終点に液だまりができやすくなります。
吐出を始めてから動き出すまでの待ち時間や、止めるタイミングの調整が欠かせません。
コーナーも要注意です。
ロボットは角で減速するので、吐出量が一定だとそこだけ線が太くなります。
調整するときは、一度に1つの条件だけを変えるのが近道でした。
3. ヘッドの重さと配管の取り回し
ロボットのヘッドに載せるバルブやポンプの重さは、ロボットの可搬重量と照らし合わせます。
ヘッドに付ける前提で軽く作られた吐出バルブもあります。
ナカリキッドコントロールの液体吐出バルブVシリーズは重量450gで、ロボットへの密着取付に向くとされています。
注意したいのは、バルブ単体の重さだけで計算してしまうことです。
ノズルや継手、中に入る液剤の分も足して考えます。
私も一度、計算上は収まっていたのに、ミキサーを付けたら動きがふらついたことがありました。
チューブやエア配管は、ロボットが動いたときに引っ張られたり、こすれたりしない長さと経路にしておきます。
4. 止まっているロボットは「運転中」
完了信号を待って静止しているロボットに、つい手を伸ばしたくなる場面があります。
ところが厚生労働省の通達では、信号待ちで静止している状態も「運転中」に含むとされています。
柵や囲いの考え方も含めて、三重労働局が掲載している産業用ロボットの通達改正のページに一度目を通しておくと安心です。
導入前にそろえておきたい資料
日本ロボットシステムインテグレータ協会のロボット導入事前チェックリストには、既存設備の仕様書や電気図面があるかを確かめる設問があります。
ディスペンサー側でいえば、次のものです。
- 外部入出力の仕様書
- 液剤の粘度とポットライフ
- 1回あたりの吐出量とタクトタイム
まとめ
ロボット連動で見落としやすいのは、信号のやりとり、吐出のタイミング、ヘッドの重さと配管、それに安全の4点です。
どれも、装置が届いてから考えると手戻りになります。
導入前に資料をそろえて、ディスペンサーとロボットのメーカーに同じ情報を渡してください。
それだけで、立ち上げはずいぶん楽になるはずです。
最終更新日 2026年10月9日 by ommuni